最高裁判所第一小法廷 昭和29(オ)617 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人の上告理由第一点ないし第三点について。
所論は冒頭に違憲をいうが、その実質は次のような法令違反の主張に帰する。
第一、被上告人が訴外Dから判示賃借権を譲受け、上告人がこれを承認したとの
原判決の事実認定はその理由付けにおいてそごを来しているとの点について。
しかし、原判決は当事者間に争がない判示事実及びその挙示の証拠によつて、本
件土地は現所有者である上告人の前主Eの先々代Eの所有に属していた当時から、
Dの賃借に係る農地であつたが、判示事情によりDに幼少の頃から養育された被上
告人は、Dが老境に入るに及び出稼いでいた大阪から帰郷し爾来同人と同居の上農
耕に従事し、右賃借権もDから譲受け、その死亡後も判示小作料を上告人に支払つ
ていたので、上告人は右賃借権の譲受けを暗黙に承諾していたものである、との事
実を認定しているのであり、前示認定の資料に徴すれば、そのような認定も出来な
いわけのものではないから、所論はひつきよう原審がその専権に基く証拠の取捨判
断によつて適法になした事実認定に対し理由そごがあると主張するだけのものであ
つて採るを得ない。
第二、被上告人がDから判示賃借権を譲受けたとする原判示は農地調整法の所論法
条を無視した違法な判断であるとの点について。
しかし、原判決は、用語いささか不十分ではあるが、これを熟読すれば、前示賃
借権の譲渡を農地賃借権の譲渡を制約した農地調整法の所論法条の制定(所論法条
は昭和二〇年一二月二八日に所論の如く改正されたものである)以前に行われたも
の、との趣旨を認定しているものと解し得られないこともないから、所論はひつき
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よう原判示に副わないばかりでなく、所論の如き主張は事実審において毫も開陳さ
れなかつたものであるから所論も亦採用できない。
同第四、五点及び同第一点ないし第三点中前示判断の対象とならない諸点につい
て。
所論はすべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(
昭和二五年五月四日法律一三八号)一号ないし三号のいずれにも該当せず、又同法
にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものとも認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
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